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製造現場のためのリニアガイド総合情報

選定サポート情報

選定計算の実例

使用条件

  • 荷重W=20[kg]
  • 外力F=5[kg]
  • ストロークST=50[mm]
  • 速度V=0.36[m/s]
  • 設定寿命LH=14400[h]
    (8h×360日×5年)
    (総可動距離LA=1296[km])
  • 往復頻度n1=30[回/min]
  • 重力加速度g=9.8[m/s2]
  • レール間隔L0=60[mm]
  • ブロック間隔L1=45[mm]
  • 外力位置L2=55[mm]

A : この条件から、各ブロックにかかるモーメントを算出(だいたいで構いません)。
P1とP3にかかるMC=(55+30)*5*9.8/4=1041[N・mm]=1.04[N・m]
P2とP4にかかるMC=(55-30)*5*9.8/4=306[N・mm]=0.3[N・m]

B : また、これらの静荷重(C)も算出(だいたいで構いません)。
C=(20+5)*9.8/4=61[N]=0.06[kN]

〔図〕使用条件

A、Bの最大値から、これに合うリニアガイドを選定(右表参照)

→C-SE2B8-130を選定
基本動定格荷重C=0.9[kN]、基本静定格荷重C0=1.5[kN]

〔図〕使用条件

lgf=N×0.101972

H 基本定格荷重 静的許容モーメント 質量
C(動)
KN
Co(静)
KN
MA
N・m
MB
N・m
MC
N・m
ブロック
kg
ガイドレール
kg/m
8 0.9 1.5 4.1 4.1 5.2 0.01 0.19
10 1.5 2.5 5.1 5.1 10.2 0.02 0.31
13 2.2 3.3 8.8 9.5 16.1 0.04 0.61
16 3.6 5.4 21.6 23.4 39.6 0.06 1.02

これらの値を確認

各ブロックにおける負荷荷重の算出

P1、P3=W*g/4+F*g/4-(F*g*L2)/(2*L0)
=20*9.8/4+5*9.8/4-(5*9.8*55)/(2*60)
=38.8[N]=0.039[kN]

P2、P4=W*g/4+F*g/4+(F*g*L2)/(2*L0)
=20*9.8/4+5*9.8/4+(5*9.8*55)/(2*60)
=83.7[N]=0.084[kN]

静的安全係数fsの確認

fs≦C0/Pmax より  (Pmaxは負荷荷重の最大値)
fs≦1.5/0.084=17.9

右表の数値と比較(今回は普通の運転条件)し、1~2 ≦17.9となり、十分に余裕があるので問題ない。

使用条件 fsの下限
普通の運転条件のとき 1~2
円滑な走行性能を要求するとき 2~4
振動・衝撃があるとき 3~5

定格寿命の算出

L定格寿命

  • fH:硬度係数
  • fC:接触係数
  • C:基本動定格荷重
  • fT:温度係数
  • fW:荷重係数
  • P:作用荷重

L=((1*1*1/1.5)*(0.9/0.084))3*50
=18223[km]・・・寿命までの走行距離 ←選定条件と比較

Lh=(L*106)/(2*ST*n1*60)
=(18223*106)/(2*50*30*60)
=101238[h]・・・寿命までの時間 ←選定条件と比較

  となり、十分に余裕があるので問題ない。

以上から、選定した型式で問題ないことが求められる。

精度と等級

精度および予圧は、各社で設定が違うため走り平行度等の数値を確認してから、型番を選定してください。

精度と等級は、以下のように分類されます。

〔図〕精度と等級

この精度の違いにより、走り平行度や高さ・幅のペア相互差の許容範囲も変わってくるので、装置やコストに見合ったものを選択する必要があります。

精度が高いほど、ブロックに載せるテーブルなどの平面度が高くワークの定位置への設置が可能であったり、またブロック高さの違いによる各ブロックにかかる荷重の差が小さくなり、リニアガイドの寿命も長くなります。

■機種別精度等級目安

  精度等級
機種名 精密級 上級 並級
マシニングセンタ    
NC旋盤    
プリント基板穴明機  
精密XYテーブル  
搬送装置  

予圧(ラジアルすきま)

精度および予圧は、各社で設定が違うため走り平行度等の数値を確認してから、型番を選定してください。

予圧は、走り精度や耐荷重性能、剛性などに大きく影響するので、用途に応じた適切な予圧選定が大切です。一般的には予圧タイプを選定することが、寿命や精度に好影響をもたらします。予圧タイプを以下に紹介します。

中予圧

  • 強度の剛性を必要とし、振動や衝撃のかかる個所
  • 重切削の工作機械など

軽予圧

  • オーバーハング荷重やモーメント荷重のかかる個所
  • 1軸で使用する箇所
  • 軽荷重で高精度を必要とする箇所

普通すきま

  • 荷重方向が一定で、振動・衝撃が小さく2軸並列使用の箇所
  • 精度をあまり必要としない場合で、少しでも摺動抵抗を軽くしたい箇所

■機種別精度等級目安

  予圧
機種名 中予圧 軽予圧 普通すきま
マシニングセンタ    
NC旋盤    
プリント基板穴明機    
精密XYテーブル    
搬送装置    

精度と等級および予圧の選定ポイント

〔図〕精度と等級および予圧の選定ポイント

上記のように、なるべくコストを上げないようにすると精度が低く、また高精度のものであると高価になってしまいます。精度と等級および予圧の説明ページに記載の、機器に対しての目安一覧表や各メーカーのカタログなどを参考に選定してください。なお走り平行度などは、目標値の30~50%程度を目安に選定するとより安全な設計ができます。
(例:目標値10μmであれば、3~5μmのものを選定する。)

グリースの種類

■各メーカーでは、用途に応じたグリースを用意しています。(下表参照)

メーカー グリースの種類 特徴
ミスミ 標準
Lタイプ 耐熱・酸化安定性・付着・粘着力に優れ、飛散・漏洩が少ない
Gタイプ クリーンルーム内で使用するリニアガイド専用
THK 高速運動用 高速運動時の発熱を抑え、潤滑性に優れる
真空用 グリース中の油分の飛散を防ぐ、蒸気圧の低いフッ素系オイルを基油としている
クリーンルーム用 低発塵特性に非常に優れている
微動用 油膜強度、耐摩耗性に優れる
高温用・低温用 温度変化時のグリースによる転がり抵抗の変動が少ない

特に特殊環境下でのリニアガイド使用時は、通常のグリースを使用できない可能性のありますので、選定時にはメーカーにお問い合わせください。

メカニカル部品技術窓口

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Fax 03-5805-7292

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